アルバータ大学:エドモントン,カナダ
2週間の予定で,カナダはエドモントンにあるアルバータ大学に
滞在しました.
受け入れ先の先生
は,私が修士課程の院生だった頃,日本にしばらく滞在されて,
時々大学前の中華料理屋に夕食を一緒に食べに行ったり(と言うか,
料理の説明をしたり通訳したり),仕事も一緒にして論文を書いたり
しました.その頃はマニトバ大学だったのですが,今はだいぶ偉く
なられたようで,アルバータ大学に在籍され,学会等でも主たる役割を
されているようです.今回は,修士の頃のよしみで,2週間だけですが
アルバータ大学に滞在させて頂く事になりました.
私はこれまで,カナダには,
バンクーバーとレイクルイーズ(きれいな湖のある観光地)
を学会の用事で訪れた事があります.
バンクーバーはカナダで最も西のブリティッシュ・コロンビア州の南端,
レイクルイーズその東のアルバータ州のやや南の方に位置します.
どちらも北アメリカ大陸の西側の方に位置します.
レイクルイーズに行った時の感じとして,10月の初めだったのですが,
バンクーバーは秋,カルガリーは冬,レイクルイーズはスキー場という
具合に,奥地に行けば行く程だんだん寒くなっていったのをよく憶えています.
エドモントンは,カルガリーのほぼ真北に位置します.
つまり,カルガリーよりも寒い訳です.
実際にエドモントンに来てみると,もう晩秋といった具合で,
紅葉(と言っても銀杏のような黄色い樹が多いですが)真っ盛りでした.
日が経つにつれて,落葉が舞い,みぞれが舞い,朝方は夜の間に降った
雪の残りが見られ,と,どんどん冬になって行くのをひしひしと感じました.
ホテルの初日,ヒーターの使い方が分からずに(スイッチが普通じゃなかった),
部屋が全然暖まらず,大変寒い思いをしたのも,強く記憶に残っています.
街の雰囲気は,立派なビルがたくさんあるけれども,
それに比べると,歩いている人の数が少なく,それがわびしさを一層増して
いました.日本で私の知っている範囲で言うと,札幌が似ています.
地下鉄があり,その構内への入口には,寒い外気を遮断するため,
扉があります.札幌に比べると全然ぎやかではないですが,地下街やビル間の
通路(ペドウエイという)が整備されていて,寒い土地ならではの工夫が見られます.
とある地下鉄駅のホームには,普通は屋外にあるベンチや街灯が置いてあり,
寒さのため屋内に普通の街を造ろうとしているように思えました.
世界最大のショッピングモール「ウエスト・エドモントン・モール」などは,
その際たるものでしょう.
アルバータ大学に到着
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LRTという地下鉄の終着駅にアルバータ大学があります.地上にでて,
まず目に付いたアドミニストレーションに行き,先方の建物はどこか訊いて
みました.学生対応が主たる仕事のせいか,何の役にも立ちませんでした.
おまけに,「何で私がそんな事知らなきゃいけないの?」とまで言われました.
これで,エドモントンの印象はだいぶ悪くなりました.
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自力で見付けた建物です.新しくできたらしく,なかなか立派です.
建物の中に入ると,前面半分は教育施設ばかりで,どこが受付なのか
さっぱり分かりませんでした.しばらく右往左往したあげく,奥の方に
研究セクションがあるようなので,思い切って入って見て,受付っぽい所に
居た女性に話をつけ,中のとある部屋に通されました.先方の先生の秘書
みたいな女性の方で,しばらく待つように言われ,待っていました.
そしてようやく,先方の先生にと会うことができました.
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Visiting Professor の部屋を与えられ,さっそくノートPCを接続しました,.
さて,これから2週間,がんばるぞっ!
キャンパスの風景
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LRT を降りて地上に出ると,こんな立派な並木道があります.
ここはバスも通っていて,大学のメインストリートでもあります.
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バス停(バスセンターと言ってもいい)の近くの建物.
カナダの大学は,英国に比べてレンガが綺麗だと思いました.
デジカメの写真では判別が付かないかと思いますが.
英国はとにかく古い,ボロいのですが,カナダはたいして古く
もなく,かと言って日本の大学の(最近建った建物の)レンガのように
ちゃちくもなく,良い印象を持ちました.大学に限らず,カナダは
街も綺麗ですしね.
HUB
アルバータ大学は規模が大きいせいもあり,学生のための施設が
充実しています.HUBと呼ばれるショッピングモールは,細長い
通路に様々な店があり圧巻です.他にも,SUBというモールがあって,
大学グッズや図書等はSUBの方にあります.ETS(LRTやバス等)の
回数券はHUBで買えます.
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HUBはバス停(センターと呼ぶべきか?)の近くにあります.
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HUB内部です.天井から陽が差し込む構造になっています.
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細長い通路の真中には,食事や勉強等が出来るテーブルが配置されて
います.私はほぼ毎日,このモール内の日本食の店で,スキヤキライス
等を買い,テーブルに座って食べていました.学生に戻った気分ですね.
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HUBの一番南端から,西に延びるメインストリートを.
図書館
HUBの隣にあるラザフォード図書館です.HUBと研究室の間にあるので,
昼食時によく通りました.
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ご覧のように,結構おしゃれな空間が屋内にあります.寒いので,
このように屋内に街中を再現したような造りが随所に見られます.
パソコンも自由に利用できるようです.
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図書館の入口にあるセキュリティ設備.何だかみんなお洒落に見えます.
電気コンピュータ工学科棟の内部
毎日ここで研究をしました.建物の中を少しご案内しましょう.
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入口です.授業の開始・終了時には,とてもたくさんの学生で混雑します.
身体障害者用の扉もあり(今,少し開いている),これは少し開けると
あとは自動で動く,いわゆるアシスト機能が付いています.
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建物に入ると,1階の両サイドに教室があります.正面には,この写真の
階段があります.
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階段を登ると,やはり両サイドに教室やパソコン演習室があり,
中央にはこの写真のような学生のためのスペースが用意されています.
とても関心したのは,毎日多くの学生が,ここで仲間と一生懸命勉強
している事です.日本では,ともすると友達同士でダベったりして,
無駄な時間を(若いのにもったいない)過ごしているのが目に付きますが,
アルバータ大学では皆大変熱心です.平日は朝早くから夜まで(あんまり
遅い時間は知りませんが),週末も人数こそ減りますがやはり同様に,
ここで皆で勉強していました.
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熱心に勉強している風景を,少し上から.
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熱心な学生を支えるように,2件の店が営業しています.ピザやドーナツを
売っています.ドーナツ屋は,朝早くから営業しています.他にも自動販売機
コーナーがあります.
研究セクション
建物の前面に教育セクションがあり,その奥が研究セクションになっています.
研究セクションは,時間外にはオートロックで閉鎖されます.私はカードキーを
借用して,いつでもここに入ることができました.
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研究セクションの内部は,このようになっています.建物が新しいため,
斬新なデザインです.殺風景にならないように,微妙に通路の壁が斜めに
なっていたりします.
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通路の壁には,このように卒業生の写真が,年度ごとに飾ってあります.
おそらく勉強が大変な分,卒業に誇りを持っているのだと思います.
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卒業生写真を,少しアップで.
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この左のガラスの部屋が,受け入れ先の先生の部屋です.
私に与えられた部屋は,このもう少し先です.
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与えられた部屋です.Visiting Professor(客員教授?)と書いてあります.
名刺を置いて自己主張しています(見えない?).
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与えられた研究室の中の様子.この頃が,一番活発に活動していました.
いろんな文献等を広げています.
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研究室の外には,大学の西側の道路が見えます.
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研究室の中から,廊下を.全ての部屋が,このようにガラス張りになっています.
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コンピュータの置いてある部屋も,このようにガラス張りです.
キャンパス周辺
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キャンパスの周辺にも,住宅や店が結構あります.
レストラン(ビストロ?) earls が見えます.
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earls の前から,大学の方(北)を見ています.遠くにHUBが見えます.
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もう少し南に行くと,大学の付属病院があります.
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付属病院の正面付近には,おなじみウエンディーズと,
Tim Hortonsというコーヒーのおいしいファーストフードがあります.
しかし,ここのウエンディーズの店員がかなりふざけた仕事ぶりで,
私にとっては世界で最も悪いウエンディーズとなりました.
接客中にも店員どうしておしゃべりばかりしていて,真面目に働こう
という気が全く無いようです.こちらの英語が下手クソなのですが,
それに対しても露骨に嫌な顔をしました.
エドモントンおよびカナダの印象が,これでますます悪くなりました.
エドモントン市街
市街の写真も,大学の写真も,もっとたくさん撮れば良かったのですが,
仕事が非常に緊迫した状態だったため,そういう心理的余裕が持てず,
あんまりいい写真がありません.帰る間際になって,ようやく諦めも
ついて,写真を撮ったという経緯です.街中のビルは結構綺麗で,
本来ならばそういう写真を撮るべきでした.
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これは泊まったホテル.2週間と結構長い為,なるべく安い所にしました.
安ければそれなりに悪い訳で,ご覧のように窓の下に小さな小窓(開閉可能)
があって,ここからすきま風が少し入ってきて,意外と寒いです.
机の上にデスクライトもなく,部屋全体も例によって薄暗いので,
仕事や勉強するにもふさわしくありませんでした.
でも,カナダのホテルは,おいしいコーヒー(ナバホ)が置いてあるのが
嬉しいです.
和食レストラン
英国でまずい飯を食べていた為,カナダではさぞやおいしいものが
食べられるのだろうと期待していたのですが,さすがにエドモントンは
内陸なので,シーフードの店はそれ程ありませんでした.かと言って,
ステーキのうまい店も見つかりそうにありません.しかしホテルに備え付け
のガイドを見ると,和食のレストランが何件かあるではないですか!
まぁ外国の和食だからあまり期待できないだろうと思いきや,
寿司や刺身もなかなかで,英国の住人としてはかなり満足でした.
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Japanese Village のカウンターの板前さん.ここに来る前は東京に
居たそうです.ご覧のように,寿司ねたがきれいに並んでいます.
いろいろ食べたおかげで?寿司や刺身の英単語をいくつか憶えました.
和食レストランは,他にも何軒か行きました.経営者が日本人の店は
少ないようで,それに働いている人は結局非日本人だったりします.
この店と,Kyotoという店が,味・雰囲気共に良かったです.
ただし値段は高いですね.珍しい料理なので仕方ないのでしょう.
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同じくJapanese Village のウエイトレスの Michelle,香港出身の
アルバータ大学3年生で,薬理学を専攻しているそうです.
「この街は退屈でつまらない」としきりに言っていました.
ところで店内の様子ですが,
店の名前からして和風を目指しているようで,座敷もあったり,鍋物や
鉄板焼きもできたりします.でも,写真を良く見ると,着ている服は
和服のようなインディアンの服のような….室内装飾も,写真の下の方
に写っている白枠×印の模様も,なんとなくインディアンっぽい気が
します.店内にいる時はあんまり気にならなかったのですが.
LRT
LRT(Light Rail Transitの略)は,市街の地下を走っていて,
片方の終点にアルバータ大学があります.
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いつも利用したBay駅です.別に海も湾も港もないのに,なぜかBay駅.
駅の装飾は,なんだか宇宙船の中よう.
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Bay駅のエスカレータ.電車が近付くと,行き先ランプが灯ります.
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電車が入ってきました.2両単位のものを何組か連結した構造になっています.
日曜の昼間等,利用客が少ない時は2両だけになったりします.
平日は6両ぐらい.
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アルバータ大学は,市街から川を越えて行きます.川は低地を流れている
ので,この部分は橋(地下でなく地上)になっています.
写真に写っているのは,「ハイブリッジ」.名前の通り,高さがあります.
自動車用の橋です.
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ハイブリッジの反対側です.カナダらしく,とても雄大な眺めですが,
写真では伝わりにくいです.もののスケールが,ちょうど2倍になった
世界をイメージして頂いたらいいかと思います.
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またハイブリッジ.見えている対岸は,大学側です.
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大学から市街方面に走っているので,もうすぐ市街側のトンネルに入ります.
毎日通った道
たった2週間でしたが,その分集中して仕事を進めました.
日本に残してきた院生・学生の働きが思ったより遅く,
必要なデータが間に合わなかった事もあり,
先方の忙しい先生(学科長だし)に申し訳ないという思いもありました.
このように前準備が不足している事や,カナダ人のいい加減な(あるいは
東洋人を差別しているような)性質に嫌気が差した事もあり,
精神的にはかなり厳しい状況での,2週間の滞在でした.
期間も終りに近付くにつれ,余裕というか諦めというか,
大げさに言えばある種悟ったような状況になり,やっと写真を撮る気持が
湧いてきました.毎日通った道を紹介します.
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LRTの地上出口です.出口は他にもいくつかあります.
いつもここを出て(あるいは近くの別の出口を出て),
そしてまっすぐ歩いていました.
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LRT出口の近くにある建物.雰囲気があります.
英国に比べれば大変綺麗です.
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LRTの出口は,立派な並木道の両側にあります.ここはバス通りで,
この写真の前方には
アドミニストレーション
後方には
バスセンター
と
HUB
があります.
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並木道から離れ,大きな中庭のあるエリアに進みます.
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中庭です.昼どきには,炭火でバーベキューしたものを「売って」
いたりしました.
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ちょうどこの時期,オープンキャンパスがあり,中庭にはこのようなテント
が建てられました.
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中庭から見えた,立派な建物(その1).
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中庭から見えた,立派な建物(その2).
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中庭の一番奥を,斜めに進んで歩きました.
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中庭が終り,その奥をさらに歩いて行きました.
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学科の建物に到着です.
さらばアルバータ大学
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最終日は,昼間の時間帯に,お世話になった先生に挨拶をしました.
夕方になって帰る際に,借りた鍵カードと部屋の鍵を,紙にくるんで
机の上に置き,簡単なお礼の言葉も書いて,部屋を後にしました.
いよいよ,アルバータ大学ともお別れです.
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Norikazu IKOMA - Dec.14, 2002 -
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