村上春樹について(まだまだ作成中)
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私は村上春樹の本と解説書の類を結構読みました。
村上春樹に関しては、
「ノルウエイの森が流行っていたから読んだよ」という人より、
多少は詳しいと思っています。
そこで、みなさんに村上春樹をもっと知っていただきたく、
特集のページを作りました。
- 初期3部作
非常にトラディショナルな村上春樹の読み方として、以下の3作を
順に読むことをお勧めします。季節は夏から冬にかけて読むのが適切
かと思います。
- 風の歌を聴け
季節は夏、主人公の「僕」が芦屋へ帰省し、「鼠」というアダ名の
友人と過ごした。そこで起きたさまざまな些細な出来事を断片的に綴
った物語。クールで読みやすい。
- 1973 年のピンボール
季節は秋。大学卒業後の「僕」と「鼠」が、場所を隔ててそれぞれ
の悩みを抱えながら過ごしてゆく時期を、もの哀しく記した作品。
翻訳事務所を友人と経営する「僕」の傍らで双子の女の子と共に
起こる出来事と、モラトリアムのまま堕ちてゆく「鼠」の心理とを、
並列して描く。「僕」は失った「直子」を、ピンボールを通して取
り戻そうとする。「鼠」は常につきまとう喪失感から逃れるために街
を出てゆく。
- 羊をめぐる冒険
季節は秋から冬になる頃。離婚した「僕」が、一枚の羊の写真から
とんでもない事件に巻き込まれてゆく。ある特殊な羊を探すため、
「僕」は完璧な耳を持つ高級娼婦の女の子と旅に出る。札幌の「いるか
ホテル」を手始めに、「羊博士」・「羊男」の助けを借りて、ようやく
その「背中に星のある羊」の居場所に辿り着く。そこで「僕」は「鼠」
と再会し、そして最後の別れを迎える。前2作と比べストーリー性が
濃くドラマチック。単独で読んでも面白いかも。
※いづれも講談社文庫(黄色)が廉価で良いです
- 世界の終りとハードボイルドワンダーランド
単独で読んでもまあまあの長編。人の内面のテーマにした二つの
ストーリーがパラレルに進行してゆき、最後に合流するという形式
が斬新でした。ハードカバーの本には、「世界の終り」の方の
「地図」が付いています。
- ノルウエイの森
単独で読んでもまあ良いのではないでしょうか?確かにそういう意味
では、ベストセラーになっただけのことはあります。でも、「蛍・納屋
を焼く・その他の短篇集」に収録の短篇「蛍」も読んでみて下さい。
「ノルウエイの森」の冒頭がこの「蛍」を原案としています。
1973年のピンボールの冒頭に触れられている「直子」は、この作品に
実際に登場する直子とほぼ同一人物だと考えられます。
- ダンス・ダンス・ダンス
原則的には、「初期3部作」の続編です。「初期3部作」をまず始めに
読むべきだと思います。この頃から、村上春樹の作品は、やや内面を向き
過ぎるきらいがあるように思えます。例えばこの作品は、「初期3部作」
で主人公の「僕」が失ったものを回復するストーリーで、内面的です。
「羊をめぐる冒険」で「僕」と完璧な耳を持つ娼婦「キキ」が宿泊した
古めかしい「いるかホテル」が、高度経済成長の象徴のような真新しい
「ドルフィンホテル」に生まれ変わっていた。そこにはあの「羊男」が、
「僕」を世界に繋げるために居る。「僕」は世界を踏み外さない
ようにダンスのステップを繰り返しながら、ひと廻りして「ユミヨシさん」
のもとに戻ってくる。それは、「僕」が再び始めようとする、現実的な
生活のスタートを意味する。ひと廻りする間に巡り逢うさまざまな人物た
ちと、暗示に満ちた白骨の横たわる部屋。舞台を変えて繰り広げられる
さまざまなストーリーはバリエーションに富んでいる。
- ねじまき鳥クロニクル(第1〜3部)
ムラカミワールドの集大成といったところ。ただ、やや現実離れして
内面を描き過ぎているせいか、好き嫌いの大きく分かれるところです。
これ以前の作品をある程度読んでから、この作品群を読むことをお勧め
します。なお、冒頭は短篇「ねじまき鳥と火曜日の女たち」に則っています。
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Norikazu IKOMA - Apr.1, 2001 -
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